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シア的発想に切替え、税関の手続きは放っておくことにしました。ですから書類上私のカローラは永久にウラジオストクの街を走っていることになっています。
2台目の車を購入したと思えば何ら問題はないと考え、新たに日本から購入した三菱エテルナ用のナンバープレートを交通警察から発行してもらうため、担当官のところへ早速出かけ、必要な書類を提出したところ、「現在、署内には外交官用のナンバープレート(Dナンバー)は無いよ。今からモスクワに申請するから、2ヵ月後には渡せると思うが……黄色ナンバー(合弁企業に登録されている車用のナンバープレート。外交官は赤ナンバー)ならあるけど、どうする」と、あるもので我慢しろと言わんばかりの応対をしてくれました。新たな強敵の出現に一瞬たじろぎましたが、こちらもこのまま引き下がる訳にはいかないので、たまたま保管されていたTナンバー(テクニカル・スタッフ用の赤ナンバー)をDナンバーが来るまで仮付けするということで妥協しました。これで、車を使用することが可能になったわけですが、現在(8月30日)に至っても状況は何ら変わっておりません。
私のような体験は、当地で頑張っておられる日本人の方なら誰もが大なり小なり経験しているものと思います。よく使われる言葉ですが、「ロシアだから仕方ない」と皆さん開き直って、或いは諦めてそれぞれ生活されているようです。中にはこの無秩序な社会を楽しんでいるような方も見受けられます。最近、私もその範疇に足を踏み入れているような気がしてなりません。当地の任期を終え、帰国する頃には社会復帰できない精神構造になっているかもしれませんので、この場を借りて事前にご報告申し上げます。

 

 

 

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